一般財団法人家庭医療学研究所
家庭医療学研究所が目指す21世紀のヘルスケア 家庭医療学研究所〜医療福祉サービスの確立にむけて〜

21世紀のヘルスケアを取り巻く環境

1.わが国における超少子高齢社会の人口動態的特徴

 21世紀は超少子高齢社会の時代であり、高齢化率は2016年時点で26.7%ですが、2025年には約30.3%に達すると予測されています。平均寿命は、2015年時点で女性87.75歳(世界第2位)、男性80.79歳(世界第4位)と、世界で最も長寿国の一つです。さらに、2015年時点で80歳まで生きた高齢者の平均余命は、男性で8.89年、女性で11.79年であり、100歳を超えた高齢者は2016年時点で65,692人に達しています。

 認知症高齢者は2012年には462万人(7人に1人)であり、2025年に約700万人(5人に1人)に増加すると推計されています。

 また、わが国の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の平均数)は、 2015年時点で 1.46人であり、世界の中でも非常に低い出生率です。この結果、0歳〜14歳の小児は2010年時点で1,680万人いましたが、2030年には1,204万人に減少すると推計されています。

2.超少子高齢社会における医療内容の変化

1)多疾患罹患

 高齢者は65歳以上の65%、85歳以上の82%が多種類の疾患をもっているという報告があります。

2)ポリファーマシー(多剤服用)

 一人の患者が5種類以上の薬剤を服用している場合、ポリファーマシーの状態にあると言います。その状態では薬剤による有害事象(便秘、転倒など)が高頻度に起こります。4剤以下の処方群と比べると、5-7剤では約2倍の、8剤以上では約4倍の有害事象が発生したという報告もあります。
 また、処方する医師が1人増えると薬剤による有害事象が約30%増加したという研究もあります。
 このように複数の医師が1人の患者の治療にあたると薬物による有害事象が高頻度に起こる危険性があります。

3)認知症患者の増加による影響

 認知症患者の診療は診察室での診察に留まらず、広範囲の知識をもつ医師が看護師のみならず精神保健福祉士、ケアマネージャー、OT(作業療法士)などの多職種とチームを組んで対応することが求められています。

4)認知症を含めたフレイル(虚弱)な高齢者の増加

 多職種恊働による医療と介護のシームレスな連携により運動機能訓練、認知機能訓練や栄養指導を行う必要があります

5)高齢者の看取りの場の変化

 ますます増加する高齢者の看取りの場としては、病院や療養型医療施設などには数に限界があり、在宅で看取ることが必要になってきています。多くの患者も在宅で終末を迎えることを望んでおり、在宅医療・在宅ホスピスの必要性が高まっています。

6)小児人口の減少に伴う変化

 少子化対策として、乳幼児健診、予防接種を積極的に行うことが大切であり、子育て支援としての病児・病後児保育を保育士や看護師などと連携して行う必要があります。

7)医療費・介護費用の高騰

 毎年1兆円規模で膨れ上がる医療費や、毎年6,000億円規模で増大する介護費用がこのまま増加し続けると、わが国の財政は破綻しかねません。早急な対策を講じることが不可欠な時代を迎えています。